異郷の地での再会1

*原作寄り

*時間軸はややズレあり

*なんとなくで楽しめる人向け 

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オフの日の午前中。

日課にしているランニングを終え、寮の近くにある公園を歩いている時だった。

 

コロコロコロ…

 

オレの背後からサッカーボールがゆっくりと転がってきた。

思わず足で止めて、振り向くと。

誰かが立っている。

眩しい日差しが逆光になり、木々の葉で影になりシルエットのみが目に入った。

風が柔らかく吹いて影が動く。

黒いキャップを目深に被っている。

白いTシャツにグレーのカーディガンを羽織り、黒いスボンにスニーカーを履いたスラリとした女がそこにはいた。

オレはボールを拾いあげて、そいつの足元へ返す。

すると、そいつは左のつま先でボールを掬いあげ、両膝で何度かボールを上げてキャップを外す。

艶のある絹糸のような長い髪があらわになり、いいにおいがしてドキりとする。それと強い既視感。

この体に吸いつくようなボール捌きといい、身のこなしといい…オレが知ってる限りただ一人だ。

ボールは弧を描き、上体を前傾させた背中を伝って足元へ戻る。それから目があった。にっこりしている。

この笑顔にもものすごい覚えがある。間違いない。今ここにいるのは…

「若林くん」

「み…岬‼︎」

 

3年ぶりぐらいだろうか。

鮮やかすぎる再会劇になった。

 

 

 

 

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原作の再会シーンを脚色したらこんな感じに。

若林視点にするか岬♀視点にするか悩みましたが、これでよかったと思ってる。

早いうち、続きを書きます。